キャリアコンサルタントとしてステップアップを考えている人の中には、「1級キャリアコンサルティング技能士」の取得を検討する人も少なくありません。
とはいえ、1級は国家資格(登録キャリアコンサルタント)や2級技能士とは異なり、「指導者」としての実践スキルが求められるため、合格難易度は非常に高い検定となっています。
では、1級キャリコン技能士の難易度・合格率は実際どれくらいなのでしょうか?
本記事では、1級キャリアコンサルティング技能士の取得難易度や合格率、資格取得のメリットを徹底的に解説していきます。
1級キャリアコンサルティング技能士とは
1級キャリアコンサルティング技能士は、国家検定制度におけるキャリアコンサルティング職種における最上位資格であり、「指導者」としての役割が求められる資格です。
1級技能士になるには、あらゆるクライアントに対して安定して的確なキャリア支援ができるだけでなく、後進のキャリアコンサルタントに対する事例指導やアドバイスを通じて成長を促すスキルも必要とされています。
そのため、受験には最低でも6年以上の実務経験が必要とされていることに加え、試験内容も難易度が高く、特に実技試験の合格率は例年10%未満にとどまっています。
- キャリアコンサルティングの最上位資格
- 指導者レベルのキャリアコンサルティング資格
- 1級キャリアコンサルティング技能士の人数はわずか773人
キャリアコンサルティングの最上位資格

1級技能士は、キャリアコンサルティング資格の中でも最上位に位置づけられる資格です。
実務においては、あらゆる相談者(クライアント)に対して安定した支援を提供できる高度なスキルが求められます。
さらに、後進の育成や学習会の開催、事例指導を通じてキャリアコンサルタント全体の水準を高める「指導者」としての役割も担う点が大きな特徴です。
さらに、キャリアコンサルティングに関する研究やツール開発、普及・啓発活動を牽引するなど、キャリア支援分野におけるリーダー的存在としての役割も期待されています。

国家資格である「キャリアコンサルタント」同様に、1級キャリアコンサルティング技能士を取得しても独占業務を得られるわけではありません。
しかし、キャリアコンサルティングの最上位資格者として、養成講座や更新講習の講師を務めたり、教材の開発に携わったりと、専門性を活かした重要な役割を担うことになります。
加えて、資格の普及やキャリア支援の発展に貢献する責任も期待されているといえるでしょう。
指導者レベルのキャリアコンサルティング資格
前述したように、1級キャリアコンサルティング技能士は、単に高度な相談スキルを持つだけでなく、「指導者レベル」として他のキャリアコンサルタントを育成・指導する力が求められる点が大きな特徴です。
キャリアコンサルティングの資格 | 求められるレベル |
---|---|
1級キャリアコンサルティング技能士 | 指導者レベル |
2級キャリアコンサルティング技能士 | 熟練レベル |
キャリアコンサルタント | 標準レベル |
そのため、1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験では、論述・面接(ロールプレイ)試験を通じて「事例指導のスキル」が問われます。
国家資格キャリアコンサルタントや2級キャリアコンサルティング技能士の実技試験が「相談者への支援力」を評価するのに対し、1級技能士の試験では、事例相談に訪れたキャリアコンサルタントを対象とした指導力が評価されるのが大きな違いといえるでしょう。

1級キャリアコンサルティング技能士の受験者は、最低でも6年以上の実務経験を積んでいます。
ですが、職場では体系的に「指導スキル」を学ぶ機会を持たない人も少なくありません。
そのため、1級技能士を目指す際には、自らがスーパービジョンを受ける機会を作り、「良い指導とは何か、なぜ良いのか」を体感することが欠かせません。
さらに、その経験を体系的に理解し、習得していくことが求められます。
1級キャリアコンサルティング技能士の人数はわずか773人
1級キャリアコンサルティング技能士の保持者は、日本全国でわずか773人(2025年3月31日時点)にとどまっています。
キャリアコンサルティングの資格 | 資格者の人数(2025年3月時点) |
---|---|
1級キャリアコンサルティング技能士 | 773人 |
2級キャリアコンサルティング技能士 | 12,324人 |
キャリアコンサルタント | 79,561人 |
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルティング技能士数 2025年3月31日現在」
参照:国家資格キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター「2025年3月末都道府県別登録者数」
これは、キャリアコンサルタント全体の登録者数79,561万人と比較するとごく一部であり、資格の希少性と合格難易度の高さを表している数字といえるでしょう。
その背景には、受験資格のハードルの高さと、実技試験における極めて低い合格率が挙げられます。
そのため、1級キャリアコンサルティング技能士の取得者は業界内で「最上位の専門家」としてされ、教育機関や企業研修、行政施策などの場で重要な役割を担うことも少なくありません。
加えて、資格保有者の人数が限られているからこそ、講師やスーパーバイザーとしての需要が高く、キャリアの広がりにも直結するといえるでしょう。

1級キャリアコンサルティング技能士は取得者が少ないため、企業側でも採用ニーズを満たしにくいのが現状です。
そのため、キャリアコンサルタントとして後進を育成し、指導者としてのスキルを磨きたい人にとっては、ぜひ目指す価値のある資格といえるでしょう。
1級キャリアコンサルティング技能士合格は非常に難しい
1級キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルティング分野の最上位資格であり、合格が非常に難しい資格です。
まず、受験資格のハードルが高く、挑戦できる人の数自体が限られています。さらに、合格率は毎年およそ10%前後、あるいはそれ以下にとどまっており、狭き門となっています。
試験は論述や面接(ロールプレイ)を通じて行われ、とりわけ「事例指導」を題材にキャリアコンサルタントを育成・指導する力が問われます。
そのため、単に現場でのキャリア支援経験に加えて、教育的な視点や後進を育てる指導スキルが欠かせません。
したがって、スーパービジョンを受ける機会が少ない人や、体系的にキャリアコンサルタントの育成に関わった経験が乏しい人が、簡単に合格するのは難しいでしょう。
1級キャリアコンサルティング技能士の難易度が高い理由
1級キャリアコンサルティング技能士試験が難しい主な理由は以下の通りです。
1級キャリアコンサルティング技能士の難易度が高い理由
- 受験資格のハードルが高い
- 指導者としてのスキルを問われる
- 実技試験の合格率が非常に低い
それぞれ詳しく解説していきます。
受験資格のハードルが高い
1級キャリアコンサルティング技能士を受験するためには、非常に高い受験資格のハードルを越えなければなりません。
1級技能士の受験資格は以下の通りです。
- 10年以上の実務経験を有する者
- 9年以上の実務経験を有する者で、大学で検定職種に関する科目を20単位以上修得して卒業
- 9年以上の実務経験を有する者で、厚生労働大臣が認定するキャリアコンサルタント養成校講座を修了
(または、キャリアコンサルタント養成講座と同等以上の講習を修了) - 8年以上の実務経験を有する者で、大学院で検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了
- 8年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験に合格
(またはキャリアコンサルタントである者) - 2級キャリアコンサルティング技能検定に合格した者で、その後、3年以上の実務経験を有するもの
2級キャリコン技能検定の受験には3年以上の実務経験が必要であることから、1級キャリアコンサルティング技能士を受験するためには「最低6年以上の実務経験」が必要であることが分かります。
実際の検定受験者の受験資格は以下のとおりとなっており、多くの人が「実務経験10年以上」もしくは「2級キャリコン+実務経験3年以上」の条件で受験しています。
受検資格 | 検定申込者 |
---|---|
実務経験10年以上 | 404 |
学士+実務経験9年以上 | 1 |
養成訓練修了+実務経験9年以上 | 2 |
修士+実務経験8年以上 | 1 |
キャリアコンサルタント国家資格+実務経験8年以上 | 219 |
2級合格者+実務経験3年以上 | 442 |
合計 | 1,069 |
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「2024年度後期1級(第14回)キャリアコンサルティング技能検定 試験結果」
1級キャリアコンサルティング技能士は、安定して適切なキャリアコンサルティングができるだけではなく、指導者レベルが求められるからこそ、長年の積み重ねを経て初めて挑める検定といえるでしょう。
>キャリアコンサルティング技能士2級の難易度・合格率はコチラ
指導者としてのスキルを問われる
1級キャリアコンサルティング技能士試験の大きな特徴は、論述・面接(ロールプレイ)試験で出題される事例指導ケースを通して、「キャリアコンサルタントを指導する力」が問われる点にあります。
国家資格キャリアコンサルタントや2級キャリアコンサルティング技能士が評価するのは、あくまで「相談者」への支援スキルです。
これに対して、1級キャリコンサルティング技能士では「相談者支援に悩むキャリアコンサルタント」に対して、適切な指導を行えるかどうかが評価対象となります。
キャリアコンサルティングの資格 | 直接かかわる対象者 |
---|---|
1級キャリアコンサルティング技能士 | 事例相談者 (キャリアコンサルタント) |
2級キャリアコンサルティング技能士 | 相談者 |
キャリアコンサルタント | 相談者 |
つまり、これまでの「キャリア支援の実務家」としてのスキルに加え、他者のコンサルティングの課題を見極め、具体的かつ効果的な指導へとつなげる能力が求められるのです。
実技試験の合格率が非常に低い
1級キャリアコンサルティンング技能検定において、特に受験者を苦しめるのが「論述」「面接(ロールプレイ)」の2つからなる実技試験です。
30~60%程度の筆記試験合格率に対し、実技試験の合格率は10%以下にとどまり、筆記を通過したとしても実技で不合格になるケースが多々あります。
厳しい受験ハードルを乗り越えたベテランのキャリアコンサルタントであっても、実技試験合格率は低く、1級キャリアコンサルティンング技能検定の合格が難しい要因の一つとなっています。
1級キャリアコンサルティング技能士の合格率
前述したように、キャリアコンサルティング技能士の合格率は非常に低く、特に「実技試験」の合格率は10%以下を推移しています。
1級キャリアコンサルティング技能士の最新の試験回である第14回(2024年後期)の合格率を、2級技能士と比較すると以下の通りです。
試験科目 | 1級技能士の合格率 | 2級技能士の合格率 |
---|---|---|
学科試験 | 61.56% | 55.29% |
実技試験 | 6.55% | 17.73% |
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「2024年度 後期 2級(第33回) キャリアコンサルティング技能検定 試験結果」
上記のように、知識のインプットさえできれば合格できる学科試験は、2級技能士の合格率と比べてもそこまで大きな違いはありません。
ですが、実技試験の合格率は半分以下となっており、試験の難しさを物語っています。

1級試験では、相談スキルに加え「キャリアコンサルタントに対する指導力」が問われる点が大きな壁となっており、単なる実務経験だけでは突破が難しいといえるでしょう。
合格するためには、豊富な経験を体系化し、教育的な視点を磨くことが不可欠です。
>キャリアコンサルティング技能士2級の難易度・合格率はコチラ
1級キャリアコンサルティング技能士の学科試験の合格率
1級キャリアコンサルティング技能検定の学科試験における合格率は以下の通りです。

試験回 | 学科試験の合格率 |
---|---|
第14回 | 61.56% |
第13回 | 35.66% |
第12回 | 38.86% |
第11回 | 62.56% |
第10回 | 14.57% |
第9回 | 35.47% |
第8回 | 61.67% |
第7回 | 29.14% |
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」
上記を見ると分かるように、第10回試験は14.57%と非常に低い合格率になっているものの、それ以外の試験回は30~60%前後を推移していることが分かります。
これは2級キャリアコンサルティング技能士と比較しても決して低い数字ではなく、基本的なインプットさえ出来れ場学科試験合格は難しくないといえます。

学科試験に合格すれば、たとえ実技試験で不合格となっても、翌々年度末まで学科試験が免除されます。そのため、以降は実技試験に集中して取り組むことができます。
初めて受験する人は、まずは確実に学科試験の合格を目指すことが、合格への第一歩となるでしょう。
1級キャリアコンサルティング技能士の実技試験の合格率
1級キャリアコンサルティング技能検定の実技試験における合格率推移は以下の通りです。

試験回 | 実技試験の合格率 |
---|---|
第14回 | 6.55% |
第13回 | 8.97% |
第12回 | 6.77% |
第11回 | 9.62% |
第10回 | 7.25% |
第9回 | 4.76% |
第8回 | 3.62% |
第7回 | 5.52% |
参照:特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「合格発表 国家検定キャリアコンサルティング技能検定」
上の図表からも分かるように、実技試験の合格率は常に10%以下と非常に低水準で推移しています。
特に第8回試験では、合格率がわずか3.62%という結果にとどまりました。この数字からも、1級キャリアコンサルティング技能検定における最大の難関が実技試験であることが分かります。

受験者は最低でも6年以上の実務経験を持つベテランですが、それでも合格率は常に一桁台となっており、1級キャリコン技能士の難しさが分かります。
【受験者の属性別】1級キャリアコンサルティング技能士の合格率
1級キャリアコンサルティング技能士は、2級合格後に3年以上の経験を積むルートが最短ですが、一方で10年以上の実務経験を持つベテラン受験者も多く挑戦しています。
では、受験資格の違いや経験年数によって、1級キャリアコンサルティング技能士の合格率に差はあるのでしょうか。
ここからは、受験者の属性ごとに1級キャリアコンサルティング技能士の合格率を見ていきましょう。
受験資格別の合格率
1級キャリアコンサルティング技能検定の第14回試験における「受験資格別」の合格率(※)は以下の通りです。
※合格率は「総合合格者数/申込者数」で計算

受検資格 | 受験者数 | 総合合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
実務経験10年以上 | 404 | 24 | 5.94% |
学士&実務経験9年以上 | 1 | 0 | 0.00% |
養成訓練修了&実務経験9年以上 | 2 | 0 | 0.00% |
修士&実務経験8年以上 | 1 | 0 | 0.00% |
標準資格者&実務経験8年以上 | 219 | 23 | 10.50% |
2級合格&実務経験3年以上 | 442 | 30 | 6.79% |
合計 | 1,069 | 77 | 7.20% |
上の表から分かるように、受験者の多くは「実務経験10年以上」「標準資格者+実務経験8年以上」「2級合格+実務経験3年以上」のいずれかのルートで受験しています。
その中でも「標準資格者+実務経験8年以上」の受験者は、合格率が10.50%と比較的高めの水準となっているのが特徴です。
一方で、最多の受験者を占める「2級合格&実務経験3年以上」は6.79%と平均的な水準となっています。
実務経験年数別の合格率
それでは次に、実務経験年数と合格率の関係を確認していきましょう。
1級キャリアコンサルティング技能検定・第14回試験における「実務経験年数別」の合格率(※)は、以下のとおりです。
※合格率は「総合合格者数/申込者数」で計算

実務経験年数 | 受験者数 | 総合合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
7年以下 | 141 | 8 | 5.67% |
8~10年 | 286 | 24 | 8.39% |
11~15年 | 393 | 33 | 8.40% |
16年以上 | 249 | 12 | 4.82% |
合計 | 1,069 | 77 | 7.20% |
上表を見ると分かるように、合格率が最も高かったのは 11〜15年(8.40%)、続いて 8〜10年(8.39%) でした。
一方で、実務経験年数16年以上(4.82%) になると数値は下がり、最も経験豊富な層の合格率が低くなるという意外な結果となっています。
経験が長いことが必ずしも合格に直結しないのは、長年の実務で得たスキルを「教育的視点で体系化できるか」が問われるためだといえるでしょう。
年齢別の合格率
1級キャリアコンサルティング技能検定・第14回試験における「年齢別」の合格率(※)は、以下のとおりです。
※合格率は「総合合格者数/申込者数」で計算
年齢 | 申込者 | 総合合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
30歳以下 | 0 | 0 | 0% |
31~40歳 | 31 | 0 | 9.02% |
41~50歳 | 244 | 22 | 7.77% |
51~60歳 | 476 | 37 | 5.66% |
61歳以上 | 318 | 18 | 7.20% |
一定の経験年数が必要になるため20代の挑戦者は非常に少なく、第14回試験では30歳以下は受験者自体がゼロという結果になりました。
14回試験で最も高い合格率を示したのは31〜40歳で9.02%。実務経験と試験対策への意欲のバランスが取れる世代であり、キャリアの中盤で挑戦することが合格に近いといえます。
一方で、合格者数が最も多かったのは51〜60歳の37名。合格率は5.66%と低めですが、この世代が受験者層の中心であることがうかがえます。
また、41〜50歳(7.77%)、61歳以上(7.20%)でも合格者が出ており、年齢を問わず合格を目指せる検定であることが分かります。

ただし、どの世代でも合格率は一桁台にとどまっており、経験や年齢よりも、経験を理論化して体系的な指導スキルへ高められるかどうかが1級キャリコン合格への鍵になるといえます。
1級キャリアコンサルティング技能士を取得するメリット
ここまで1級キャリアコンサルティング技能士の取得も難しさを伝えてきましたが、検定合格の困難さに反し、独占業務なおどを得られる資格ではありません。
そのため、受験資格を持っている人でも「1級キャリコンを取得するか迷っている」という人は少なくありません。
そこで、ここからは1級キャリアコンサルティング技能士を取得する以下のメリットについて解説していきます。
1級キャリアコンサルティング技能士を取得するメリット
- クライアントや企業との信頼構築に役立つ
- スーパーバイザーとして活動が可能
- 講師などの指導的役割の求人で採用されやすい
- 国家資格の直近の更新講習が免除される
クライアントや企業との信頼構築に役立つ
1級キャリアコンサルティング技能士を取得すると、相談者や企業からの信頼を格段に高めることが可能です。
相談者にとっては「国家資格の最上位を持つ専門家」という安心感があり、初対面から信頼を得やすくなるのが大きな利点です。
特に企業内キャリア支援や組織コンサルティングでは、専門性を証明する資格があることで依頼の説得力が増し、プロジェクト参画のチャンスを広げることができるでしょう。
1級キャリコン技能士の資格そのものが「高い専門性の証明書」となるため、他のキャリアコンサルタントとの差別化を図りたい場合にも役立ちます。

ただし、実際には相談者や企業の担当者の中には、1級キャリアコンサルティング技能士がどれほど高い専門性やスキルを持っているのかピンとこない人も多いでしょう。
そのため、この資格を取得したからといって尊大な態度を取るのではなく、あくまで目の前のキャリア支援に全力で向き合う姿勢こそ重要といえます。
スーパーバイザーとして活動が可能
1級キャリアコンサルティング技能士のメリットの一つに、キャリアコンサルタントのスーパーバイザーとして活動できる点が挙げられます。
スーパービジョンは、キャリアコンサルタント(スーパーバイジー)の課題解決と成長を促す専門的な教育を指し、1級キャリアコンサルティング技能士に求められる役割のひとつです。
主にスーパーバイジーが実際に行った事例を通してスーパービジョンを行うため、1級技能士の検定対策で培ったスキルを活かしやすい仕事のひとつといえるでしょう。
単にキャリア相談の実務を行うだけではなく、業界全体の質を高める仕事にも関わることで、自身のキャリアの幅も大きく広げることが可能な点がメリットといえるでしょう。

また、1級キャリアコンサルティング技能士から「キャリアコンサルティングの実務に関する指導を受けた時間」は『最大10時間』を上限に、キャリアコンサルタント資格後進に必要な技能講習を受けたものとみなされます。
そのため、1級キャリコン技能士のスーパービジョンは、キャリアコンサルタント登録者数に比例してニーズがあるといえるでしょう。
講師などの指導的役割の求人で採用されやすい
1級キャリアコンサルティング技能士の資格を取得することで、講師などの指導的役割の仕事に採用されやすくなります。
特にキャリアコンサルタント養成講習や更新講習では、指導者レベルの資格が求められるケースが多く、1級保持者は貴重な人材として採用されやすいといえるでしょう。
キャリアコンサルティングの実務だけでなく、教育的な役割を担えることで、仕事の幅が広がると同時に、安定した収入源を確保することが可能になります。
ただし、キャリアコンサルタント養成講座を運営しているスクールは意外と少なく、求人は決して多くはないため、注意しておきましょう。

キャリアコンサルタントの更新講習において、「全通信型知識講習」の動画教材は『キャリアコンサルティング職種技能士1級相当以上の者』が要件になっているため、1級を取得することで更新講習の講師としてのキャリアも広げることが可能となります。
国家資格の直近の更新講習が免除される
1級キャリアコンサルティング技能士を取得すると、国家資格「キャリアコンサルタント」の直近の更新講習が一部免除される点もメリットの一つです。
国家資格キャリアコンサルタントは5年ごとの更新が必要で、一定時間の知識講習や技能講習を受講する必要があります。
しかし、1級キャリアコンサルティング技能検定に合格した場合、その直近の更新(合格後5年以内の更新)に限り、更新講習の不幸が不要となります。
更新講習は時間的・金銭的な負担が大きいため、免除を受けられることは、多忙な現場で働く人にとって学習コストを抑えつつ資格を維持できる大きなメリットといえるでしょう。

ただし、資格の更新自体が不要になるわけではないので注意しておきましょう!
1級キャリアコンサルティング技能士の難易度・合格率まとめ
1級キャリアコンサルティング技能士は非常に取得が難しく、検定の合格率も概ね10%以下を推移しています。
資格取得難易度が高い理由としては、受験資格のハードルが高いことに加え、2級や国家資格キャリアコンサルタントでは求められなかった「指導者スキル」が必要になることが挙げられます。
合格しても独占業務が与えられるわけではありませんが、スーパーバイザーや講師として活躍できるなど、「指導者としてのキャリア」を築けることは大きなメリットです。
キャリアコンサルタントとして、キャリア支援の普及や後進育成に積極的に取り組みたいと考えている人にとって、ぜひ挑戦を検討すべき資格といえるでしょう。