介護職員初任者研修の難易度は?試験内容や合格するためのポイントを現役介護福祉士が解説!

介護職員初任者研修の難易度解説介護士

介護職員初任者研修の資格を取得したいけど、難易度が気になる人は多いのではないでしょうか。

試験内容や学習方法なども、介護職未経験の人にとっては難しそうに感じるかもしれません。

本記事では、介護職員初任者研修の難易度や試験の内容、合格するためのポイントなどを、研修講師の経験もある現役介護福祉士の筆者が紹介します。

これから介護職員初任者研修を受けようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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介護職員初任者研修の難易度は?

介護職員初任者研修の難易度は、けっして難しいものではありません。なぜなら、研修を受講し与えられた課題に取り組むことで、資格を取得できるからです。

研修の最後に修了試験を受けて合格する必要はありますが、理解度を確認するテストなので受講者を落とすための試験ではありません。

しかし、まったく勉強しないで合格できるわけではないため、研修で学んだことを復習するといった自発的な学習は必要になってくるでしょう。

ここでは介護職員初任者研修の研修内容や、万が一修了試験に落ちた場合の対処法を解説します。

介護職員初任者研修の内容

介護職員初任者研修は、全10科目の講義と演習で構成されており、受講時間は130時間です。内容を以下の表にまとめました。

科目時間
職務の理解6時間
介護における尊厳の保持・自立支援9時間
介護の基本6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携9時間
介護におけるコミュニケーション技術6時間
老化の理解6時間
認知症の理解6時間
障害の理解3時間
こころとからだのしくみと生活支援技術75時間
振り返り4時間
合計130時間
引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」

受講者は以上のカリキュラムを受けながら、レポート課題を提出する必要があります。課題といっても、講義を真面目に受けておけば難しいと感じることはないでしょう。

また全科目修了後に1時間程度の筆記試験があり、学習の理解度を評価します。

試験内容は選択式がメインですが、一部記述式も含まれることがあります。一定の合格ラインはありますが、講義と課題を確実に行なっていけば問題なく合格できる内容です。

修了試験に落ちた場合の対処法

修了試験に落ちた場合、資格は取得できないのではないかと不安に感じる人もいるでしょう。

先述のとおり、介護職員初任者研修の修了試験は学習の理解度を確認することが主な目的であり、合格不合格を決めるものではありません。

だからといって理解度が低いと判断された場合は、修了試験を突破できません。そういった場合は、必要に応じて追試や補講を行い、一定の理解をした上で研修を終えることになります。

修了試験に落ちたからといって資格がもらえないということはないので、心配はいりません。しかし介護職員初任者研修は、基本的な介護技術や知識を学ぶものなので、一定の理解をした上で終了することが大切になるでしょう。

介護職員初任者研修に合格するためのポイント

介護職員初任者研修を受ける人は、働きながら資格取得を目指す場合が多いのではないでしょうか。

ここでは、時間がない中でも効率的に学習し、介護職員初任者研修の修了試験に合格するための3つポイントを解説します。

修了試験に合格するための3つポイント

  1. 講義を真面目に受ける
  2. 課題の内容は確実に理解する
  3. スキマ時間を活用し学習する

それぞれのポイントを押さえておくことで、効率的に学習を進められるので、ぜひ参考にしてみてください。

講義を真面目に受ける

介護職員初任者研修は介護の基礎的スキルを身につける研修で、介護未経験でも理解しやすい講義内容になっています。

そのため各講義を真面目に受けて、重要なポイントはマーカーで印を付けたりノートに整理したりしながら、自分にとって理解しやすい形で学習するといいでしょう。

終了試験に向けて早いうちから勉強するというよりは、講義を毎回集中して受けることが大切です。あとは試験前にそれまでの学習内容を確認する程度で、十分合格することは可能でしょう。

課題の内容を確実に理解する

介護職員初任者研修は、講義を受けていく中で課題の提出を求められます。言い換えると、積極的に自分で学ぼうとしなくても、勉強せざるを得ない状況が用意されています。

修了試験の内容は課題の中から出題される可能性が高く、確実に理解しておきたいポイントです。

そのため、講義を真面目に受けるとともに、一つひとつの課題に丁寧に取り組むことで、修了試験の合格に必要な知識を学べるでしょう。

スキマ時間を活用し学習する

介護職員初任者研修を受ける場合、働きながら資格取得を目指す人も多いでしょう。また、家事や育児でまとまった時間が取れない場合も考えられます。

そう言った場合には、スキマ時間の活用が大切です。朝の30分や通勤電車の中、仕事の休憩中や寝る前のちょっとした時間など、こまめに勉強時間をわけることで、継続もしやすくなります。

具体的な学習法は、課題を見直したりテキストを軽く読んだりといった、手軽にできる方法がおすすめです。毎日10分でも継続することで、記憶に定着しやすくなるでしょう。

介護職員初任者研修を取得するメリット

介護職員初任者研修は現場の実践だけでは習得しづらい基礎を体系的に学ぶことが可能で、取得することで、以下のようなメリットがあります。

初任者研修取得のメリット

  1. 介護の基礎的スキルが身につき介護現場で活躍できる
  2. 就職や転職に役立つ
  3. 資格手当により給料アップが期待できる
  4. キャリアアップの土台になる
  5. 家族の介護にも活かせる

あらかじめメリットを知ることで、学習意欲の向上にもつながるため、ぜひ参考にしてみてください。

介護の基礎的スキルが身につき介護現場で活躍できる

介護職員初任者研修は、介護の基礎的スキルが身につくため、これから介護現場で働きたい人はもちろん、すでに介護の仕事をしている人にもおすすめの資格です。

介護の仕事は誰でもできる思われがちですが、要介護度や認知症の進行具合に応じて、対応方法も異なります。

その際に基本的な介護スキルが身についていると、ひとつの判断基準となります。ぜひ介護現場で活躍するために、介護職員初任者研修の資格取得を検討してみてくださいね。

就職や転職に役立つ

介護の仕事は資格なしでも行えますが、資格があることで一定以上の介護知識やスキルがある証明になるため、就職や転職に有利になります。

また訪問介護の仕事をする場合は、介護職員初任者研修をはじめとした資格の取得が必須です。施設系の介護でも、介護職員初任者研修以上の資格を条件としている場合もあります。

参照:日本ホームヘルパー協会「訪問介護員になるには」

そのため「介護業界に就職したい」「他の介護施設に転職したい」という場合は、資格があるほうが採用されやすくなるでしょう。

まだ資格を取得しておらず、これから介護業界で働きたいという人は、まず介護職員初任者研修の資格取得を目指すといいでしょう。

参考:訪問介護はどんなサービスが受けられる?できない支援や利用する方法を解説 | スマートシニア

資格手当により給料アップが期待できる

先述のとおり、介護の仕事は無資格でも始められますが、資格があることで給料アップが期待できます。

厚生労働省の調査によると、介護職は資格の有無によって、以下のように給料が異なります。

保有資格給与(月給)
無資格278,370円
介護職員初任者研修308,960円
実務者研修314,170円
介護福祉士334,510円
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

介護職員初任者研修を取得すれば、無資格よりもおよそ3万円給料が高いことがわかります。

職場によって資格手当てや基本給などが異なるため、必ず3万円アップするわけではありませんが、確実に給料がアップにつなげることが可能となります。

キャリアアップの土台になる

介護職員初任者研修を取得することで、実務者研修や介護福祉士といった、介護にかかわるさらなる資格取得のきっかけになります。

ちなみに介護職員初任者研修を取得した人は、実務者研修の内容が一部免除なるというメリットもあります。

リーダー職や管理職など介護業界でキャリアアップを目指すためには、国家資格である介護福祉士の取得が有効です。ただ介護福祉士を受験するためには、現場の実務経験が必要になってきます。

そのため、まずは介護職員初任者研修を取得し、現場経験を積みながら受験資格を満たすといいでしょう。

家族の介護にも活かせる

介護職員初任者研修は介護職だけでなく、自宅で家族の介護をする人にも役立つ内容になっています。

実際に私が講師として関わらせていただいた受講者の中にも、家族を介護するために受けに来た人も数名いました。

家族の介護に活かせるというのは自分が介護をするだけではありません。介護保険制度の基礎知識があることで、家族にとって適切な介護サービスを判断できるメリットもあります。

多くの高齢者が介護を必要とする現代において、介護職員初任者研修の資格は大きな助けとなるでしょう。

介護職員初任者研修の資格取得と講師としての体験談

本記事の筆者であり現役介護福祉士の私は、介護職員初任者研修(当時はホームヘルパー2級)の取得だけでなく、講師としてかかわった経験もあります。

ここでは、私自身が介護職員初任者研修を通じて感じたことを紹介します。

実体験:資格取得は周囲からの信頼アップにつながる

私の場合はまず現場で半年ほど経験した後に、資格を取得しました。そのため、ある程度の基礎知識があった分、講義内容は確認作業のような位置付けでした。

正直資格がないことに対する不安はありませんでした。

それでも、資格取得を目指したのは資格手当が欲しかったからで、給料アップを目的に初任者研修の取得を目指しました。

ただ実際に資格を取得して感じたのは、今まで以上に他の職員や利用者の家族から信頼されるようになったということです。

私が働いていた施設では、名札に保有資格が記載されていたため、誰がどのような資格を持っているかが一目でわかる仕組みでした。

また、一緒に働く他のスタッフからは「資格を取得した〇〇さんなら安心して任せられます」「働きながら頑張って勉強していましたね」などの言葉をいただきました。

また利用者の家族には、自己紹介の際に名札を見せる際に保有資格も提示すると「介護の専門家だから安心してお任せできますね」という言葉をいただきました。

介護職員初任者研修をはじめとした資格の取得は、自分のためでもありますが、それと同時に他の職員や利用者の家族などに安心してもらえる効果も期待できるでしょう。

資格取得はあくまで手段であり目的は介護の質を上げること

先ほど資格を取得することで、給料アップや周囲から信頼される効果を紹介しましたが、何よりも重要なのは、介護の質を上げることです。

介護職員初任者研修であれば、食事や排泄、移乗や入浴といった介護技術を利用者に負担なく行えることが求められます。

またカリキュラムの中にある「老化」や「認知症」、「障害」への理解は、適切な介護サービスを提供するために必要不可欠な知識です。

私の場合は、受講者と講師の両方を経験したことで、研修の目的をより深く理解できました。ただ、介護を始めて間もない頃は、なんとなく研修を受けていたのが正直なところです。

資格取得が目的ではなく、介護職員初任者研修を受講する中で学んだことを、介護の現場で活かすことが大切です。

研修内容と現場の状況にギャップや矛盾があるのは否定できません。しかし、なぜ長い時間をかけてまで介護を学ぶのかを考え受講することで、より充実した研修になるでしょう。

介護福祉士の取得を目指している人は実務者研修から取る選択も可能

介護職員初任者研修の上位資格として「実務者研修」という資格があります。

実務者研修とは、さらに実践的なスキルを学べる資格で、初任者研修を取得せずにこの資格取得を目指すことも可能です。

厚生労働省では、実務者研修の到達目標を、以下のように明示しています。

実務者研修の到達目標

  • 幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力の修得
    (※介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準)
  • 今後の制度改正や新たな課題・技術・知見を自ら把握できる能力の獲得を期待

引用:厚生労働省「実務者研修のイメージ」

実務者研修の資格取得は、国家資格である介護福祉士の受験要件になっています。また、介護職員初任者研修の科目も含まれているため、最初から介護福祉士を目指すつもりであれば、介護職員初任者研修を受講せず実務者研修を目指すのもいいでしょう。

ただし、研修の内容は介護職未経験者を想定したものではないので、自身が研修内容についていけるか否かは注意が必要です。

実務者研修の講義は450時間と、介護職員初任者研修の130時間に比べて3倍以上ですが、より専門的な介護を学べます。

私が働く職場でも、介護福祉士を目指している人の多くは、最初から実務者研修を受講しています。科目量も時間も多く大変ですが、働きながらでも十分学べるので、いきなり実務者研修の資格取得を目指す選択もいいでしょう。

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介護職員初任者研修に関するよくある質問

最後に、介護職員初任者研修に関する以下のよくある質問にお答えしていきます。

  • 介護職員初任者研修はどれくらい勉強すれば合格できますか?
  • 介護職員初任者研修の受講料はいくらですか?
  • 介護職員初任者研修は働きながら受講できますか?

それぞれお答えしていきます。

介護職員初任者研修はどれくらい勉強すれば合格できますか?

本記事内でもお伝えしたとおり、介護職員初任者研修は以下のことを徹底すれば十分合格可能です。

  • 講義を真面目に受ける
  • 課題に確実に取り組む
  • スキマ時間を活用し学習する

130時間の講義を真面目に受けて、与えられた課題に確実に取り組むことが何よりも大切です。その上で、スキマ時間を活用してこまめに学ぶことで、合格に必要な知識を得られます。

以上のことを意識して学習に取り組めば、まとまった時間を取らなくても介護職員初任者研修の資格取得は問題なく可能でしょう。

介護職員初任者研修の受講料はいくらですか?

介護職員初任者研修の受講料は、開講しているスクールによって異なり、およそ5万円〜8万円程度です。主なスクールと受講料については、以下の表をご覧ください。

スクール名 受講料受講期間
ニチイ88,000円(税込)1〜4ヶ月ほど
三幸福祉カレッジ87,780円(税込)1〜4ヶ月ほど
ベネッセスタイルケア55,000円〜60,720円(税込)1〜4ヶ月ほど
初任者研修の代表的スクールと受講料の一例
(※受講料金や受講期間は地域や時期によって変更になる可能性があります)

スクールごとに割引やキャッシュバック制度など、さまざまな特典があるので、スクールを選ぶ際の参考にしてみてください。

またハローワークや自治体が実施している支援制度や、職場の福利厚生を利用することで、実質無料で取得することもできます。各制度の利用については、日程や条件等が詳しい内容を知りたい人は、問い合わせてみましょう。

介護職員初任者研修は働きながら受講できますか?

介護職員初任者研修は、多くの人が働きながら受講し資格取得を目指しています。スケジュールも毎週同じ曜日に固定したり、土日のみ受講したり調整が可能です。

すでに介護現場で働いている人は、上司に相談すれば研修日程に合わせて休日を調整してくれます。私の場合も、毎週同じ曜日を休みにしてもらい、平日コースで受講しました。(当時はホームヘルパー2級でしたが、基本的なスケジュールは同じ)

介護現場で働きながら介護職員初任者研修を受講することで、現場の状況を想像しながら学べるので、より実践的なスキルを身につけやすいでしょう。

介護職員初任者研修の難易度まとめ

介護職員初任者研修の資格は決して難しいものではなく、講義や課題に真面目に取り組むことで誰でも取得可能です。

また資格を取得することで、就職や転職に有利になったり、給料がアップしたりといった効果も期待できます。

介護職員初任者研修の資格に興味があるけど一歩踏み出せないって人は、本記事を参考にぜひチャンレジしてみてください。介護の現場で活かせる資格となるでしょう。

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この記事を書いた人

shima(津島武志)

介護業界17年目の現役介護福祉士。
日本福祉大学出身で、主な保有資格は介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士など。これまでに6回の転職を経験し、さまざまな介護施設を渡り歩く。その間に管理職や採用担当、転職サポーターなどの業務を担ってきた。